日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 7巻1号 pp. 47-55
2009.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


ヒト骨髄間葉系幹細胞を用いた象牙芽細胞分化と象牙質再生

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 歯科保存修復学分野

伊澤 俊次, 山路 公造, 星加 知宏, 中田 貴, 神農 泰生, 西谷 佳浩, 吉山 昌宏


 保存修復治療において象牙質欠損部位への象牙質再生は機能性および審美性保持において最良の方法と考えられる.我々は2006年に,ヒト骨髄間葉系幹細胞が適切な分化因子(エムドゲインゲルとTNF-αの組み合わせ)によって象牙芽細胞に分化することを発表した.さらに2008年に分化した象牙芽細胞が人工合成のScaffoldなどにより象牙質を再生・生成することの実証を試みた.その結果,分化細胞組織が蛍光抗体法および酵素抗体法により,オステオカルシンに対する陽性反応を示し,アリザリンレッド染色でも陽性反応を示した.さらに位相差顕微鏡による形態観察では細胞外に象牙質様組織を認めた.これらの結果より,ヒト骨髄間葉系幹細胞は,エムドゲインゲルとTNFαを組み合わせた分化因子と,人工合成されたペプチドハイドロゲルなどの適切なScaffoldを用いることによって,象牙芽細胞に分化し,象牙質を再生することが示唆された.


キーワード: ヒト骨髄間葉系幹細胞,象牙質再生,エムドゲインゲル,TNF-α,ペプチドハイドロゲル

(原著論文)


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