日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 7巻1号 pp. 34-46
2009.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


性差と年齢による歯肉縁下歯石の形態と組成の変化

1高知学園短期大学 医療衛生学科 歯科衛生専攻,
2高知大学医学部脳神経外科講座,
3高知大学医学部皮膚科学講座,
4田中歯科医院,
5日本大学松戸歯学部組織・発生・解剖学講座, 日宇歯科医院,
6東京歯科大学口腔超微構造学講座

三島 弘幸1,北原 正大2,宮元 沙織3,田中 和夫4,大久保 厚司5,西野 彰恭1,大野 由香1,中石 祐子1,野村 加代1,和食 沙紀1,見明 康雄6


 本研究では男性と女性の10〜70歳代の歯肉縁下歯石を用いて,男女の性差や加齢変化に伴う組織構造及び組成変化の比較検討を行った.歯石は男女共に10〜60歳代までは白色が多く,70歳代では黄色が多かった.内部構造では,女性で層状構造が明瞭で内・中・外層において色の違いがみられた.内部の結晶形態では,男女共に10〜20歳代では球形を呈し,30〜70歳代では不定形な形を呈していた.顆粒径は男女共に10歳代が一番小さく,40歳代が最大でそれ以降からは徐々に小さくなっていった.EPMA分析では構成元素の含有量の多い順からCa,P,Na,Mgとなっていた.Ca/P比では,男女共に10,20,40歳代と比べて70歳代の方がCa/P比が高かった.層状構造している歯石において,EPMAの線分析では明帯と暗帯において,暗帯の方が明帯よりMgが多く含まれていた.X線回析法で歯石の結晶組成を同定したところ男女共に10,20,40,70歳代でHAが検出され,他に10,20,40歳代の女性でOCP,Wが検出された.


キーワード: 縁下歯石,加齢変化,SEM-EDS,微量元素

(原著論文)


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