完全除去が原則である根管の軟化象牙質を再硬化させ歯質を保存することを本研究の目的とした.ハイドロキシアパタイト(HA)は歯科領域において組織親和性に優れ,生体の治癒能力を阻害することは無く,高い再石灰化能あるいは硬組織誘導能を示すことが数多く報告されていることから本研究の材料として使用した.
基礎実験として,人工軟化根管象牙質を作成した.次にナノ化した超微細構造のHAを根管内に応用したところ,軟化象牙質の再硬化がみられた.しかも根管象牙質深層部においても再硬化が現れた.
ナノ化HAを一定時間根管に作用させることで完全軟化象牙質において,本来の象牙質の強度を得ることができたことは,今後補綴処置で除去すべき軟化根管象牙質を保存できる可能性を示唆している.
キーワード:ナノ化ハイドロキシアパタイト,軟化根管象牙質,軟化根管象牙質の再硬化
(原著論文)
日本再生歯科医学会ホームページへ