自家骨に代わる上顎洞底挙上術における移植材料の開発を目的として,ゼラチンハイドロゲルによる徐放化塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)とbiodegradable ceramicsを用いて新たな移植材料の検討を行った.ビーグル犬の前頭洞に1.β-TCPとbFGF含浸ゼラチンハイドロゲル複合体,2.β-TCPと生理的食塩水含浸ゼラチンハイドロゲル複合体,3.β-TCPとbFGF水溶液および4.自家骨を填塞し,術後4週および12週における骨形成能を検討した.軟X線撮影,組織学的観察および骨占有率測定の結果,bFGF徐放群では旺盛な骨形成が確認された.以上の結果より,bFGF徐放システムβ-TCP複合体材料は,自家骨に代わる上顎洞底挙上術の移植材料となりうる可能性を示した.
キーワード:塩基性線維芽細胞増殖因子,ゼラチンハイドロゲル,β−三リン酸カルシウム,薬物送達システム
(原著論文)
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