日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 5巻1号 pp. 11-19
2007.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


歯肉縁上歯石の形態と組成における加齢変化

1高知学園短期大学 医療衛生学科 歯科衛生専攻, 2高知学園短期大学専攻科 応用生命科学専攻, 3田中歯科医院,4日本大学松戸歯学部組織・発生・解剖学講座,5東京歯科大学口腔超微構造学講座

三島 弘幸1,川井 郁子2,西野 彰恭1,和食 沙紀1, 田中 和夫3,大久保 厚司4,見明 康雄5,柳澤 孝彰5


 加齢に伴う歯石の構造及び組成変化についての研究は少ない.青年期の20歳代と成人期の40歳代以降の歯石を用いて,その歯石の構造及び組成変化について比較検討を行った.歯石は縁上歯石の青年期12例及び成人期15例を用いた.歯石の構造は実体顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて観察し,エネルギー分散型X線分光分析装置にて歯石内の化学組成の分析を行った.青年期では顆粒状の結晶が多くみられた.成人期では層状構造をしており,顆粒状,線維状あるいはフレーク状などの結晶が観察された.歯石を構成している元素には青年や成人とも,CaとPが多く含まれており,微量元素ではNaとMgが検出された.NaとMgの含有量に年齢差が生じる可能性が示唆された.Ca/P比は,青年期では平均値1.19であり,成人期のCa/P比の平均値は1.46であった.年齢により歯石内の結晶に差異が生じる可能性が示唆された.


キーワード:縁上歯石,加齢変化,SEM-EDS,微量元素

(原著論文)


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