細胞増殖・分化を誘導する因子として化学的刺激の一つで侵害刺激と考えられているカプサイシンに注目し,ラット骨髄由来細胞をカプサイシン添加培地中で培養し,細胞の分化誘導に適当なカプサイシン濃度を検討した.カプサイシン受容体であるTRPV1はカルシウム透過性陽イオンチャネルでカプサイシンだけでなく,熱や酸,脂質により活性化される.この受容体は主に侵害受容神経に発現し,炎症性痛覚過敏を誘発するが,これまで骨髄由来細胞でTRPV1が発現したという報告はみられない.今回の実験で培養細胞からcDNAを抽出し,TRPV1 mRNAの発現を確認した.TRPV1 mRNAの発現はカプサイシン添加群でのみ認められ,対照群では認められなかった.これにより骨髄由来細胞においてカプサイシンの添加によりTRPV1 mRNAの発現が誘導されることが示唆された.
キーワード:骨髄由来細胞,カプサイシン,TRPV1
(原著論文)
日本再生歯科医学会ホームページへ