日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 4巻2号 pp. 87-98
2007.3.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


生理活性物固定化バイオマテリアルの開発 −トレシルクロリド法によるチタン表面への細胞接着タンパク質固定の試み−

日本大学松戸歯学部歯科生体材料学講座

早川 徹


 チタンインプラントの生体適合性を向上させるために,細胞接着タンパク質を固定化する手法が幾つか報告されている.著者らは,簡便かつ確実な固定化法としてトレシルクロリド(2,2,2-トリフルオロエタンスルフォニルクロリド,CF3CH2SO2Cl)を用いる手法を開発した.チタン表面に液体であるトレシルクロリドを直接塗布し,37℃で2日間放置するだけでチタン表面がトレシル化される.その後,細胞接着タンパク質溶液にトレシル化チタンを浸漬するだけで,チタン表面に細胞接着タンパク質が固定化される.水晶発振子マイクロバランス法,モデル化合物での分子軌道計算などからトレシルクロリド処理の効果を確かめた.また,細胞接着タンパク質固定化チタンへの細胞の初期付着状態を調べ,その効果を確認した.今後,トレシルクロリド法はチタンフィバーメッシュなど再生医療のための3次元スキャホールドへの適応が期待される.


キーワード:チタン,トレシルクロリド,細胞接着タンパク質,固定化

(総説)


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