日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 4巻1号 pp. 3-14
2006.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


骨芽細胞のwound healingにおける非受容体型チロシンキナーゼの関与

大阪歯科大学 1大学院歯学研究科生化学専攻,2生化学講座

堂前 英資1,合田 征司2,池尾 隆2


 Src family kinase(SFK)は,細胞の分化,形態形成,運動に関与するなど,多彩な機能をもつ非受容体型チロシンキナーゼである.ノックアウトマウスを用いた実験からSrcは破骨細胞の機能発現に不可欠であることは知られているが,SFKの骨芽細胞における機能はほとんど知られていない.今回,我々は,骨芽細胞の増殖,遊走に対するSFKの関与を明らかにするために,骨芽細胞株MC3T3-E1のwound healingに,SFK阻害剤であるPP2添加が及ぼす影響を検討した.Wound healing assay では,PP2添加によりwound healing は抑制されたが,細胞増殖活性には影響しなかった.ウエスタンブロッティング法による細胞内シグナル伝達分子の検討では,PP2添加によりAKT,ERK1/2のリン酸化が阻害された.また,PI3-kinase(PI3K)の阻害剤であるLY294002添加でwound healing は抑制された.
 以上のことから,MC3T3-E1の遊走にはSFKとPI3Kが関与することが示唆された.


キーワード:骨芽細胞,wound healing,Src family kinase,PI3-kinase

(原著論文)


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