再生医療を目的として組織幹細胞の研究が進展しており, 歯髄由来の培養細胞が象牙質形成能を持つことが報告されている.今回, scaffoldとしてアルジネートの有用性を検討するため, ヌードマウス腰背部皮下の筋膜上に培養したヒト歯髄由来細胞を移植した.培養実験では培地にβ-glycerophosphateを添加したところ, dentin sialoprotein (DSP) をコードしている mRNA が発現し, アルカリホスファターゼ活性が上昇した.移植実験では移植 6 週後には移植部位に放射線不透過性構造物の形成が確認された.免疫染色でコラーゲンタイプ T, V と DSP の発現が認められた.さらに象牙芽細胞様細胞の分化と象牙質様硬組織の形成が確認された.本実験により歯髄由来細胞のscaffoldとしてのアルジネートの有用性が示唆された.
キーワード:ヒト歯髄由来細胞, 細胞培養, 移植, scaffold,アルジネート
(原著論文)
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