日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 21巻1号 p.11-22
2023.3.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


胚性幹細胞を用いた細胞分化レベルによる各種歯科生体材料の生物学的研究

大阪歯科大学 歯学部 再生医療学室

今井 弘一


 再生医療は病気やけがなどの様々な原因で失った組織や臓器を再生する医療で損傷を受けた臓器または組織を正常な状態に様々な再生テクニックを使用して元の機能に戻す目的がある.生体組織工学の考え方は20世紀に登場してからすでに数十年が経過しました.臓器または組織を再生させるための必要な因子として,細胞,スキャフォールドおよびシグナル分子の3因子すべてが必要であることが指摘されてきた.歯科領域では歯や歯槽骨などの硬組織と,歯肉や口腔粘膜などの軟組織とが再生対象となる.また,口腔には各種の唾液腺組織もあり,唾液も大きな再生目標となる.味覚は全身の健康や栄養にも関係するため味蕾の回復は重要な再生ターゲットである.歯科領域では従来から補綴治療で歯の機能を回復することが一般的で,補綴治療に審美的で十分な機械的強さを示すバイオマテリアルを開発してきた.バイオマテリアルを用いない再生医療テクニックが従来の補綴治療に加わることには大きな期待があります.今回,上記3因子で再生医療の内容を述べ,さらに歯科再生特有の内容についても付け加えた.


キーワード:歯科再生医療, 幹細胞, スキャフォールド, シグナル分子, 組織工学

(REVIEW)

J-Stage<全文公開 DOI: doi.org/10.11223/jard.21.11>