日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 2巻2号 pp.131-137
2004.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


コラーゲン固定化エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVA)のヒト歯髄由来細胞に対する影響

岡山大学大学院医歯学総合研究科 歯科保存修復学分野1
京都大学 再生医科学研究所 ナノ再生医工学研究センター2
西谷 佳浩1,高木 了1,宇城 直樹1,糸田 俊之1
玄 丞烋2,堤 定美2,吉山 昌宏2


 本研究ではコラーゲン固定化EVA(EVA+C)フィルムがヒト歯髄由来培養細胞の細胞形態,増殖能, type Iコラーゲンの合成に及ぼす影響について検討を行った.
 矯正治療目的で抜去されたヒト上顎小臼歯の4〜6継代した歯髄細胞を実験に使用した.EVAコーティング,EVA+Cコーティングおよび処理なし(コントロール)の3種類の細胞培養用シャーレを用意し,DMEM培地中で24時間培養後の細胞形態,7日間の細胞増殖数および7日間培養後の歯髄細胞におけるtype Iコラーゲンの発現を検討した.
 コントロールとEVA+Cの歯髄細胞は良好な付着・伸展および増殖を示したが,EVAでは細胞の伸展が観察されず,増殖も劣っていた.また,すべてのシャーレ上の歯髄細胞でtype Iコラーゲンの発現が認められた.
 以上より,EVAへのコラーゲン固定化は歯髄細胞に対して優れた親和性を示すことが示唆された.

キーワード:コラーゲン,エチレン−ビニルアルコール共重合体,歯髄細胞,覆髄

(原著論文)


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