日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 19巻1号 pp.1-9
2021.3.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


試作覆髄剤の象牙質接着強さとカルシウムイオン徐放について

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科歯科保存学分野

西谷 登美子, 達山 祥子, 高 裕子, 勝俣 愛一郎, 星加 知宏, 西谷 佳浩


 接着性を有する覆髄剤の開発を目的として,Mineral trioxide aggregate (MTA) と親水性モノマーで重合硬化させる覆髄剤を試作した.MTA とモノマーの比率が異なる2種の試作覆髄剤および市販の覆髄剤を実験に供した.材料の基本性能となる象牙質と試作覆髄剤のせん断接着強さ,象牙質辺縁封鎖性および試作覆髄剤からのカルシウムイオン徐放について検討を行った.その結果,本研究で試作した覆髄剤は,市販の覆髄剤よりも良好な象牙質辺縁封鎖性を示し,接着強さも高かった.またモノマーとMTAの配合比が異なる試作覆髄剤間での比較では,相対的にモノマーの比率が高い方が接着強さは高く,MTAの比率が高い覆髄剤では象牙質辺縁封鎖性に優れ,材料からのカルシウムイオン徐放量が多くなる可能性が示唆された.MTAとモノマーの配合比率が覆髄剤の基本性能に影響する可能性があることから,今後さらに,象牙質辺縁封鎖性に優れた高い接着強さが得られる配合比率について検討を行う予定である.


キーワード: 象牙質,覆髄剤,せん断接着強さ,辺縁封鎖性

(原著論文)

J-Stage<全文公開 DOI: doi.org/10.11223/jard.19.1>