日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 11巻1号 pp. 12-18
2013.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


ナノ化ハイドロキシアパタイト応用によって再硬化された人工軟化根管象牙質の硬さの経時変化

日本大学松戸歯学部 再生歯科治療学講座

菊地 信之,ア山 宗紀,牧村 英樹,長浜 文雄


 我々は人工軟化根管象牙質を作製し,根管内にナノ化ハイドロキシアパタイト(ナノ化HA)応用したところ,およそ24時間でナノ化HA粒子は自然に根管象牙質内に浸入し,ほぼ未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化したことを報告した.しかし,再硬化された人工軟化根管象牙質の硬さが経時的にどのように変化するのか解っておらず,またそのような報告も見当たらない.そこで、ナノ化HAの作用によって再硬化された人工軟化根管象牙質の硬さの経時変化について検討した結果,再硬化された人工軟化根管象牙質の硬さは時間経過するに従い増加する傾向であることが認められた.
 このことは,ナノ化HAによって未脱灰の象牙質の硬さまで再硬化された軟化象牙質が長期間にわたり硬さに変化なかったことは,本来除去すべき軟化象牙質が保存できる可能性を示唆している.


キーワード: ナノ化ハイドロキシアパタイト,軟化根管象牙質の再硬化,軟化根管象牙質の経時変化

(原著論文)