研究の目的は,歯肉‐歯周病変部に形成された歯石と歯肉縁下歯石の構造と組成を比較・検討することである.歯周病変部歯石では顆粒状であった.中年縁下歯石において多
角形,フレイク状,桿菌様の構造物が多く認められ,青年縁下歯石では小さな顆粒状構造物が多かった.全体として Ca, P, Mg, Na を含有していた.歯周病変部歯石ではS, Al も含
有し,局所的に Si, Fe が検出された.中年縁下歯石では局所的に Al を含有し,青年縁下歯石ではFを含有していた.歯周病変部歯石の Ca/P 比は1.52 とW に近似していた.中年
歯肉縁下歯石の Ca/P 比は1.50 と W に近似し,青年歯肉縁下歯石の Ca/P 比は1.75 と HA に近似していた.X線回析法では,歯周病変部歯石はW であり,中年縁下歯石は W であり,青年縁下歯石は HA であった.