日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 1巻1号 pp.22-24
2003.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


Stem cell Biologyから見たcancerにおけるstem cellの考え方

大阪歯科大学 内科学講座
原川 奈梨


 Stem cellとcancer cellをstem cell biologyの自己複製,増殖という観点から考察した興味深い知見がある.自己複製は動物の生存を維持するために,種々のstem cellに必須のものである.また,異なる器官に存在するstem cellの能力はさまざまである.正常な状態においては,あらゆるstem cellは自己複製と分化の間で相対的にバランスを調整していると考えられる. そして,stem cellは自己複製によって,それ自身を永続させ,分化し,組織特異的な成熟した細胞となる. 一方,cancer cellは,もはや自己複製の制御の効かなくなった状態であると考えられる. 腫瘍を,腫瘍原性細胞が遺伝的変異を蓄積し無制限に増殖する能力を獲得した異常な組織,として捕らえるなら,stem cell biologyの自己複製についての原則は,腫瘍にもあてはめられる.<以下,略す>

キーワード:stem cell, cancer, 自己複製



日本再生歯科医学会ホームページへ