「日本再生歯科医学会」 新会長就任のご挨拶

会長  堤 定美
京都大学名誉教授
金沢工業大学客員教授
京都府立医科大学特任教授

1.学会の新たな発展に向けて
 本学会は2002年6月に日本再生歯科医学研究会として発足し、翌年に日本再生歯科医学会に改組・改称致しました。以来、岡山大学・吉山昌宏教授を学会長として順調な発展を遂げて参りましたが、近年、吉山会長の体調不良が続いたため、この度2016年7月に臨時総会を開催しまして、会長および副会長、常任理事会など役員の改選が認められました。私は今回、会長代行から新会長に選出されましたので、就任のご挨拶を述べ、皆様のご支援とご協力をお願いしたく思います。
 再生医学は損傷した臓器や組織の構造と機能を正常な状態に再生し回復させて病気の治癒へ導こうとする学問であります。バイオマテリアルや組織工学、バイオテクノロジーの発達と本学会会員の研鑽によって目覚ましい研究成果が生まれております。再生医学の分野は多岐に亘っていますが、とくに歯科医学分野においては従来から高水準の補綴や保存修復、口腔外科など独自の再建治療技術が発達してきた実績の上に、他の医学分野に先駆けて歯周組織再生治療が認可・実践されています。
 再生医学の基礎研究から再生治療へと患者の期待に応えるために一番近い位置にある再生歯科を益々発展させる使命を本学会は担っています。「歯科医学分野における再生医療の進歩と発展によって人類の健康増進と福祉の向上に寄与することを目的とする」との吉山前会長の言葉の基に築いてこられた学会の路線を引き継いでいきましょう!学会外に向けても研究成果を広報し、学会への要望を聞き取る市民公開講座の開催に努めていきたいものです。学会員諸氏のさらなるご努力とご協力に期待し、お願い申し上げる次第です。

2.歯科独自の再生医学研究を目指して
 本学会が目指すべき研究目標は以下の通りです;
(1)歯科独自の再生医療テクニックの開発
(2)再生医療用材料,器械・器具の開発
(3)再生用in vitro口腔組織モデルの開発
(4)再生技術の歯科臨床への応用技術の開発
(5)口腔組織再生が全身に及ぼす影響の解明
(6)口腔組織の発生に及ぼす影響の解明
(7)口腔の神経系や血管の再生に及ぼす影響の解明
(8)口腔諸器官の再生に関する解明
(9)再生医療シミュレーションモデルの開発
(10)再生医療用統計処理体系の確立
(11)再生医療における個人差や加齢についての解明
(12)口腔内微生物と組織再生についての関係の解明
(13)喫煙など生活習慣が口腔組織再生に及ぼす影響の解明
(14)再生医療における臨床的評価方法の開発
(15)口腔組織再生医療に関する教育方法の検討
(16)組織再生における倫理的側面からの検討
 これらは吉山前会長のご挨拶文から引用したものです。学会の発展と共にさらなる目標が出てくるのは当然であり、これからの議論の盛り上がりが待たれます。また、学問の発展には評価・試験法の統一や共通化の必要がありますので、まず一つ追加しましょう;
(17) 再生医療における規格化・標準化の提案と制定



「日本再生歯科医学会」 設立のご挨拶(初代 吉山 昌宏 会長)



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