第10回日本再生歯科医学会総会・学術大会 特別事業





プログラム

連通多孔体ハイドロキシアパタイト(NEOBONE)を用いたインプラント治療における顎骨再生治療

武知正晃 先生 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医科学専攻顎口腔頚部医科学講座口腔外科学教室准教授)

現在、インプラント治療における顎骨再生治療の移植材料として、各種の骨補填材が多く臨床応用されている。連通多孔体ハイドロキシアパタイト(NEOBONE)は、高い強度と独自の多孔体構造を有し、非常に優れた骨伝導能と生体親和性により、2010年1月に国内で唯一のインプラント埋入時を含む歯科領域における骨補填材として厚生労働省より薬事承認を得た。
本講演では、NEOBONEを用いた基礎的研究の結果ならびに臨床症例を供覧し、顎骨再生治療における本材料の有用性について解説する。

インプラントの骨組織反応と将来への展望

長塚 仁 先生 (岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病態機構学講座口腔病理学分野教授)

インプラントの成功の鍵として、オッセオインテグレーションによる骨との結合がもっとも長期にわたり成功を収めるものとみなされている。オッセオインテグ レーションを早期に成立させるためには、インプラントに対する骨組織反応の解明と理解が必須である。また、近年の材料学、遺伝子工学の進歩はインプラントの世界に新たなブレイクスルーを生み出す可能性を有する。本講演では、基礎的な側面からインプラントの骨組織反応と将来への展望を示したい。

細胞培養の本当の問題点 -再生とインプラント臨床家のために

今井弘一 先生 (大阪歯科大学歯科理工学講座准教授)

1976年から細胞培養を始めました。今でも現在進行形ですが、連続36年間にわたって、細胞培養をほぼ毎日のように地道に行ってきました。20世紀の時代は細胞増殖が中心でしたが、ティッシュエンジニアリング技術の発達による再生研究が急速に流行しました。その結果、21世紀は細胞増殖より細胞分化に焦点が当てられています。今後、細胞分化技術からさらに各種臓器や生命体そのものの再構築技術が、22世紀を待たずに訪れることが予想されますが、まだまだ重要なポイントが未解決です。
現在では細胞培養技術で各種の便利なツールがシステム化され、インスタント食品のように簡単に細胞が扱えるようになりました。反面、昔の研究者であれば当然知っていることも、よく知らずに細胞培養を行う人も増えてきました。細胞培養の関連技術を実験室から臨床現場でも応用する時代になりつつあります。再生やインプラント臨床家の方々が基本的に知っていなければならない基礎知識と重要な注意点を簡単に解説します。

RWVバイオリアクターによる擬微小重力培養法を用いた3次元硬組織の再生技術

植村寿公 先生 (産業技術総合研究所ナノシステム研究部門)

RWVバイオリアクターは円筒形の細胞培養ベッセルを回転させることにより擬似的に微小重力環境での細胞培養を可能とする3次元培養システムである。このシステムを利用することによって、間葉系幹細胞から大型軟骨再生に成功し、臨床応用に向けて自動培養システムを開発している、また、骨再生において、間葉系幹細胞と血管内皮細胞の共培養をRWVバイオリアクター内で行うことにより血管を伴う骨再生が可能である。歯科領域への応用展開を含めて、RWVバイオリアクターによる硬組織再生に関して概説する。